クレモナにはいくつか名所があります。予定では5日にジェノヴァ(パガニーニの故郷。コロンブスの故郷でもある。海や港を見たかった)に行こうと思っていましたが、予定を変更してクレモナの街中を歩いてきました。以下は3日〜5日にかけての街中の様子です。
クレモナには大聖堂(ドゥオーモ)があります。非常にラッキーなことに3日に訪れた時に大聖堂のパイプ・オルガンを聴くことができました。丁度、夕方で窓から祭壇に夕日が差し込むところも。
塔(左)と大聖堂(右)
祭壇が夕日に輝き、オルガンが空気を震わす。神に降りてきてもらうためのものが音楽であり、聖堂でありなんだとダイレクトに感じました。30分に満たない経験ですが、これは一生忘れられないだろう。
このオルガンはモンテヴェルディ(1500年代後半から1600年代前半の作曲家。クレモナ出身)も弾いたとどこかに書いてありましたが、もっと新しい楽器に見えました。真偽はともかく、昔からこんな音が鳴り響いていたのだろうなかと、また、ストラディヴァリやグァルネリもこの響きを目指したのだろうかと思いを馳せることができました。
大聖堂には誰でも無料で入ることができます。たまたまオルガンの演奏(コンサートではなかったみたい)があったのは、本当に嬉しかったし、幸運だったと思います。そして、信仰というものや音楽というものを少し理解できた気すらしました。
イタリア最大と言われる塔に登りました。高さ111mだそうで、1200年代(!)の建物です。これは怖かった。塔におられた日本人の方に勇気づけられて、最上段まで登ることができました。
中の階段をのぼるのぼる。ゼイゼイ言っています。
間近で鐘の音も聴きました(12時)。やかましかった。
確かにイタリアの風景。多くのヴァイオリニストや製作家もこの風景を見たのだろうな。
オレンジ色の屋根が多く、確かにイタリアに来たのだなあと実感した瞬間。回廊になっていて中庭がある建物の構造や、街のあちこちに教会の塔があることなどよくわかりました。写真ではわかりにくいのですが、衛星放送のパラボラアンテナがいっぱいあったのも面白く。
目の前はコムーネ宮です。回廊状の建物の構造がわかります。屋根の工事中。
ストラディヴァリが仕事していた家。ここはその旨の表示がされていました。両隣の家に比べても小さく、「ストラディヴァリのような金持ち」という言われ方がある割には、こんなもんかなあと感じました。あまり大きな家に住みたがらない人だったのかも知れません。
中央がストラディヴァリの工房跡
こちらはその旨の表記がなかったので確信がもてないのですが、ここにグァルネリの工房があったはずです。グァルネリ・デル・ジェス通りという通りの名前になっていたので、それほどは外れていないはず。ストラディヴァリの家からは想像以上に離れていたのが驚く。でも、交流はあったはず。
グァルネリの工房跡(キャサ・グァルネリ)のはず。この建物のどこかだったのだろうか?
ストラディヴァリの墓石も。これは近くの公園。
ストラディヴァリの銅像。
町のあちこちに、ヴァイオリンをモチーフにした飾りがありました。眼鏡屋さん、お菓子屋さん、その他さまざまなお店でショーウィンドウにヴァイオリンやチェロが飾られていました。
これを、この街のひとがヴァイオリンを誇りに思っているからだと解釈する向きもあるのですが、わたしには観光地にはやたら伝統工芸品が多いのと変わらないように思えました。
牛さんがチーズの上で指揮しています。これはかわいかった。
眼鏡屋さんにもチェロがあり
何屋さんかわかりませんが、ここにも楽器が。
町中にSushi Bar(寿司屋さん)もあり、日本料理店もあり、よほど日本人観光客が多い様子。また、ドゥオーモ前で演奏していたヴァイオリン弾きも「バイオリンを弾いています」と日本語で書いてあったのには幻滅しました。
ケースに貼ってある紙に「バイオリン弾いています」と日本語で書いてありました
残念ながら、わたしもそのひとりではあるけれども、日本からヴァイオリンを目的にクレモナに来る人はよほど多く、よほどお金になるのだなという印象を受けてしまいました。
ヴァイオリンはヨーロッパは乾燥しているからよく鳴るという言われ方をします。それを確かめに温湿度計を持って行き、計測してきました。
もちろん、10月の3日間だけなのでハッキリとしたことは言えないのですが、およそ気温23度-26度、湿度48%-55%と日本とそれほど変わらない。体感的にも、むしろ湿った空気に感じました。
実際、モンドムジカで弾いた音も日本と特別に変わらないし、暖かくて湿っていて非常に過ごしやすい気候。むしろ少し暑いくらい。少なくとも、単純に乾燥しているとは言えないように感じました。
こんな素敵な通りが多数あります。こういう通りの風景が印象的。