ヴァイオリンの最大の魅力は音色にあるとも言えます。ヴァイオリンには人間をたぶらかす「蠱惑の音色」を持った「悪魔の楽器」のイメージもあるでしょう。だからこそ多くの作曲家がヴァイオリン曲を作曲し、高額なヴァイオリンが存在し、弦や弓の毛など音色にこだわった製品が存在する理由なのでしょう。ここまでの狂気をもたらす楽器は他にはないかもしれません。
ところが、良い音色・悪い音色が実際にどういう音なのか明確に示される事は少ないように思えます。「ご自分の好きな音が良い音色ですよ」と好みの問題とも言えてしまいます。ここではどういう音を目指せば良いのかの参考にできるように、音色について示していきたいと思います。
演奏の内容が分かりやすく伝わる事が「実用的な良い音色」と考える事ができます。テレビやラジオなど放送の品質をイメージすると分かりやすいように思えます。
・ノイズが少ないこと
・音が太いこと、厚みがあること
・音量があること、音量のムラがないこと
これらを好ましい加減にするとある程度期待されるような「良い音色」に近づきます。単純なようですが演奏技術だけの問題ではなく、楽器の問題も含まれる事なので案外単純ではありません。
その上での「魅力・魔力」の要素があります。「タッチ」の部分とも言えます。
ほんの少しのスパイスで料理は美味しくも不味くもなるもの。その点について少し触れたいとも思います。このほんの少しの違いは演奏技術についても楽器についても言える事ですが、強い執着心が必要な要素だろうかなと思います。
次回以降各ポイントについてお示ししていきます。