自分で良い音程で弾いているつもりでも、録音をしてみるとオンチな演奏をしている場合があります。これは手だけで弾いていて、頭の中で音程ができていない場合に生じやすいことです。
酔っぱらいのカラオケは聴くに堪えないものがあります。酒の勢いもあって気持ちよく歌っているつもりでも、きちんと音程を取ろうとしていなければ適切な音程で歌うことはできません。これと同じで、ヴァイオリンも適切な音程で音を出そうとしていなければ音程は合いません。
「当たり前じゃないか」と言われるかもしれません。ですが、手の問題ではなく、頭の中で音が鳴っていないために音程がおかしいケースが非常に多く見られます。
ヴァイオリン教育の世界では、音階練習やセブシックなどの練習曲を練習すれば自動的に音程が合うようになるといったムードがあります。もちろん、これらの練習で大雑把には音程が合ってきますが、最終的に決め手になるのは頭の中の音です。
頭の中で音を鳴らすときには、何となく上がって下がっての音程ではなく、階段状に音が上がったり下がったりするイメージ(シーケンスソフトのピアノロールのような感じ)があると良いかと思います。はっきりと「この高さの音」とねらいをつけるような感じで頭の中で鳴らします。
よく言われる「頭の中で歌いましょう」といった牧歌的な事とはちょっと違います。全ての音に対して厳しくねらいをつけて、当てようとするという意味になります。速いパッセージや重音では難しくなりますが、これらも一音一音ねらいをつけるつもりになると音程は合いやすくなります。
音程は当てようとしなければ当たりません。手で音程を作るのではなく頭の中で音程を作ると、多くの場合(初心者であろうと上級者であろうと)音程は格段に良くなります。どうぞお試しいただければと思います。