「ヴァイオリンはデリケートなもので大切に扱わなければならない」と子供からヴァイオリンを習ってきた方は教えられているはずです。また、場合によっては「命より大切なもの」と教えられていることもあるかと思います。
実際にヴァイオリンはデリケートな面もありますし、ご存じのように億単位の値段の楽器も存在します。その一方で、400年以上も使用可能な頑丈な楽器とも言えます。もちろん長い間には修理を伴いますが、長期に渡って使い続けることが可能です。
ここではヴァイオリンを破損させないための取り扱い方法についてお話させて頂きます。わたしは仕事上、何千万円・何億円と言った極めて高額な楽器を手にすることも多いのですが、今のところ無事故でできていますので、それほどおかしな取り扱いではないと思っております。
まずはヴァイオリンに限らないことですが、モノを破壊しないためにはモノの性質を知り、過度な力を加えてしまうリスクを取り除いておくことが前提となります。
ヴァイオリンは部分的には1mm以下の板の厚さでできた木製品です。表面は融点の低い塗料で塗装されています。木材同士は水と熱で柔らかくなる接着剤(ニカワ)で接着されています。木製の薄い板を接着した塗り箱を扱っているとお考え頂ければ概ね大丈夫と言えます。
何か木箱に倒れてくる可能性を避ける(倒れたり落ちたりするものは周りから遠ざける、ケースに入れる)、脚やお尻で踏んでしまうリスクも避ける(床や椅子には置かない)、落下させる可能性を避ける(目の届かない場所や高いところには置かない)、熱を避ける(真夏の車の中には置かない)と言ったごく常識的な対処をすることでほとんど事故を避けることができます。
次回以降詳しくお話しさせて頂きたいと思います。