ヴァイオリンの技術や練習方法を示した名著として、カール・フレッシュの「ヴァイオリン演奏の技法」や、イヴァン・ガラミアンの「ヴァイオリン奏法と指導の原理」があります。
これらは指導をするなら絶対に把握しておかなければならない書籍ですし、習う側としても目を通しておきたい本です。ですが、カール・フレッシュは現在では入手が難しく、アマゾンのマーケットプレイスなどでも大変に高額です。また、特にカール・フレッシュは古い本ということもあり、文章が読みにくく、時代を感じさせる部分も散見されます。
そこで、新しい本で名著と呼べるものが出ていますので、今回はその本をご紹介することにします。より、システマティックに、かつ、具体的に練習方法を示した書籍です。
Simon Fischer
Basics
- 300 exercises and practice routines for the violin
これは、弦楽器専門誌「The Strad」の連載をまとめた本です。「The Strad」に連載していると言うことは、それだけでも世界的な批評に耐えうるということで、書いてあることはかなり信用できると考えて良いと思います。国内でしばしば出版される思いつきのような書籍とは、環境からして違います。
洋書(英語)ですが、かなり分かりやすい英語ですし、本文を全部読まなくても、譜例や写真でも充分理解できます。
私の知る限り、練習方法についてどの本よりもシステマティックに具体的に示してあります。フレッシュやガラミアンは言葉を中心に書いてありますが、Basicsは実際にどんな練習をするかが、具体的に譜面で出ている点が異なります。
一つの技術に対してあらゆるパターンで丁寧にしつこく練習方法を示してあります。ヴィブラートだけで13ページに渡って書いてあり情報量がまるで違うことがお分かりかと思います。また、ヴィブラート、シフトなどとテクニックの項目毎に示してあり、その点でも大変に使いやすい本です。
一般的な楽譜と同じ大きさ(300mm×225mm)で231ページとまずまずのボリュームで、6,000円程度です。一見、高額な本のようですが、レッスン代と考えれば高くない。そして並のレッスン以上に学ぶことの多い、おすすめできる書籍です。
Simon Fischer
Basics - 300 exercises and practice routines for the violin
Peters Edition Ltd
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