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ヴァイオリンの演奏技術の設計〜独学で習得できること、できないこと

ヴァイオリンの演奏技術を組み立てるにも設計が必要です。充分ヴァイオリンを弾けるようになるために必要な教材・教本やお伝えすべき内容や順序は概ね決まっていて、成長段階に沿って大まかにはその手順に即してお話しをしています。

完成までの筋道を順序立てて計画するのが設計ですが、設計が甘いととんでもない製品が組み上がることになります。設計には細かなノウハウが大いに生かされる事で、独学では難しいどころか、しっかりその分野を学んでいたとしても現場を知らない人間に任せると、現場の事情に即さないひどい結果になります。これはヴァイオリンの教育でも同じ事で、つまずくポイントの判断や解決には多くの細かなノウハウが必要です。

ヴァイオリンの世界でこなすべき課題についての情報は豊富です。音階は小野アンナやカール・フレッシュ、練習曲はセブシック、カイザー、クロイツェル、ローデと言った情報はありふれていることでしょう。でもこれは材料にすぎず、材料を組み立てることで出来上がる結果は経験がなければ予想しにくいことですし、むしろその組み立て方が分からないからこそ習うものだと思います。料理のレシピに材料が書いてあっても、その加工方法が分かって初めて料理はできるものですし、加工方法には多くのノウハウがあるものです。

設計には様々なケースを考える必要があります。現在の課題がうまく出来たら進むべき課題、あまりうまく出来なければ進むべき/戻るべき課題があります(「モノポリー」や「人生ゲーム」のようなボードゲームのイメージです)。特にうまくできない場合(エラーケース)の対処を考えるためには多くのエラー経験が必要です※。全てのエラーケースを予見できるわけではありませんが、わたしはそういうイメージを持ってレッスンをしています。

「どういう材料を使って、どう組み立てたら良い演奏ができるのか?」これは誰にとっても永遠の課題ではありますが、多くの失敗やエラーを重ねた経験の豊富な側が一歩先んじていることではあると思います。

※だからこそエラーをほとんど経験してこなかった天才的な名演奏家は教師としては大成しないケースが多いのだろうと思います。

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