弦の交換時期はいろんな人がいろんなことを言っているために、案外すっきりした結論は出ていないようです。チェリストのカザルスは、切れる寸前が一番いい音がすると言っていたりしますし、逆に毎週交換する人もいます。
演奏する量によって交換の頻度が違うと言われることもあります。ですが、楽器店で展示されている楽器の中には、毎日弾かれているとは思えない楽器でも明らかに劣化しているものもあり、弾かなくても弦は次第に劣化していくようです。従って、定期的な交換は必要と言えます。
弦が劣化しているかどうかは弦をはじいてみるとわかります。はじいた時点での音程より、はじいた後の響きの音程が下がるものは明らかに劣化しています。また、弦が劣化すると高い倍音が少なくなり、こもった地味な音色になります※。
この判別方法に従うと、わたしの場合、E線は2週間程度、ナイロン弦のA線、D線、G線は1ヶ月程度、ガット弦のA線、D線、G線は2ヶ月程度で劣化が目立ちはじめます。
最近はナイロン弦も値段が高くなってしまったので、おいそれと交換できるわけではありません。劣化を感じても、1ヶ月〜2ヶ月程度はそのままということもあり、明らかに音程が合いにくくなったり、音に張りがなくなったら交換しています。結果的にわたしの場合は、E線は1ヶ月程度、ナイロン弦のA線、D線、G線は2ヶ月程度、ガット弦のA線、D線、G線は3ヶ月程度で交換しています。
弦はある程度の周期で交換する必要があります。その周期、あるいは、判別方法の参考になれば幸いです。
※ トマスティック社のドミナントの場合は、このような変化が分かりやすいですが、ダダリオ社のザイエックスなどはこの方法ではほとんど劣化がわかりませんでした。弦によって劣化の特性は異なるため、E線はゴールドブラカットの0.26mm、ナイロン弦のA線、D線、G線はトマスティック社のドミナント、ガット弦のA線、D線、G線はピラストロ社のオリーブを念頭に入れて書いています。