ヴァイオリンの胴体を磨くよりも、汚れの付着に注意するべき部分があります。指板(しばん)と弦です。指板と弦は、演奏するときに体に接する部分で、汚れやすい部分です。人間が楽器を汚す一番の原因なのです。
弦は短時間弾くだけでアカだらけになります。弦は振動の源ですので音にも影響し、汚れると、倍音の少ないさえない音になります。きれいにするだけで、弦を新品に交換した時のような音になる場合もあります。
指板も汚れやすい部分です。汚れると、シフト(ポジション移動)の時に指が引っかかる感じになります。きれいにすることで、楽にシフトができるようになり、音程が取りやすくなる場合があります。
弦と指板はアルコール(エタノール)を少量付けたティッシュペーパーで拭くときれいになります※1。ただし、アルコールは胴体に付くとニスが溶けるので注意が必要です※2。色の塗ってある部分や、光沢のある部分には絶対にアルコールをつけてはいけません。
弦は、弦の裏にアカが付いていることが多いため、ティッシュを弦に巻き付けるようにこすり取ると良いと思います。また、指板は、弦の下が汚れますので、ティッシュを弦の下にくぐらせるようにして拭くと良いと思います。
胴体をマメに磨くのも結構ですが、弦や指板は音や演奏に直接影響の出る部分です。場合によっては大きく音色も変わるし、演奏のしやすさが変わることもあります。こういった部分にも気を配ってみてはいかがでしょうか。
※1 私は次の方法をとっています。アルコールの瓶の口を折り畳んだティッシュでふさぎ、一瞬(0.5秒程度でしょうか)アルコールの瓶を傾けることで、アルコールを含ませます。本当に少量で充分に効果があるようです。
※2 指板を塗料で黒色に塗った楽器があり、アルコールで塗料を溶かす可能性があります。まずは、目立たない部分で少しだけ試してみることをおすすめします。