ヴァイオリンはきれいにしておいた方が良いと言われます。美術品・木工品としてヴァイオリンを見るには、磨かれていた方が気持ちがいいし、松脂や手あかのこびりついた状態は少なからず音にも悪影響を与えます。ですが、磨き過ぎることが、かえってヴァイオリンを傷めることにもなりかねませんので注意が必要です。
ヴァイオリンを拭く布は、木綿の白い布、つまり使い古しのTシャツで充分です※。模様や刺繍、縫い目などの硬い部分は避けて使います。マメに洗濯するか、使い捨てにして、いつもきれいな布を使用するように心がけると良いと思います。
ヴァイオリンはふつう乾拭きで掃除します。裏板の広い面などを磨きたくなるのですが、むしろ、指板、弦やテールピースの下に付着した汚れには気を配ると良いと思います。
演奏時に付着した松脂の粉や、指紋などは拭き取っておいた方が良いのですが、完璧主義になる必要はありません。松脂や汚れは少しずつ堆積するものです。どうしても気になるのなら、半年に一度程度市販のヴァイオリン専用ポリッシュで磨いたり、弦楽器工房で磨いてもらうと良いでしょう。
輝かせようとむやみにゴシゴシこすったり、頻繁にポリッシュで磨いたりするのは、表面を少しずつ削っているのと同じで、長い目で見ると良いことには思えません。また、力を入れてこすると、勢い余って駒やf字孔などをこわす可能性も出てきてしまいます。
趣味の問題もあるとは思いますが、長年使うものだからこそ「やりすぎない」ように注意してみてはいかがでしょうか?
※ティッシュは繊維が硬く荒いため、ヴァイオリンの胴体を拭くには不向きです。なお、私の楽器は古い楽器のためもあり、木綿の布とセーム皮を併用しています。