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ヴァイオリン業界全体に他者の悪口・陰口を言う習慣があります。狭い世界ですし、資金力・技術力・人脈などで勝負している世界ですので、悪口が増えるのも分からなくはありません。ヴァイオリン専門店も例外ではありません。
他店の名前を口にした途端、ムキになって悪口を聞かされた経験はありませんか?他店で購入した楽器を見せて(だいたい「どこの店で買った?」と聞かれるものです)、他店の名前を出した途端、「偽物だ」「ジャーマンだ」などと言われたことはありませんか?残念ながら、こういう不快なことが大変に多いのです。
ビジネスとして考えた場合、同業者の悪口・陰口を言って優位に立とうとするのは30年は遅れたビジネススタイルです。かつては日産の営業マンはトヨタの悪口を感情的に言ったものですが、最近は、巧みに論理的に自社製品を売り込むスタイルが主流となっているようです。
また、普通の人間関係を考えた場合、親しい人には第三者の悪口も言えるものですが、初対面で他人の悪口ばかり言うような人は非常識と言うべきでしょうし、当然、信頼もできません。少なくとも、「そう言う考えもあるだろうが、私の考えでは・・・」という前置きがあってしかるべきです。悪口・誹謗中傷と批判・批評は違うのです。
楽器店でも、やたら他店の悪口を言うような店はオミットすべきです。まして、不特定多数の読むホームページや書籍で、同業者の悪口を感情論で書くような店は、顧客になっても良いつきあいができるとは思えません。大人のつきあいはできないし、次に悪口を言われるのは、客である自分自身なのかもしれないのです。
競争の世界で先へ進もうとする人は前しか見ていないものです。悪口の対象に優越感があるなら先へ進めないし、悪口はむしろ劣等感の現れと考えるべきです。先に進もうと勉強と研究を続ければ修理技術も鑑定眼も精度が向上します。ですが、現状に満足していれば、間違った知識・技術に気がつかないし、現在の技術以上に向上することはありません。
ヴァイオリン界で蔓延する「悪口」ですが、楽器店を選別するキーポイントになると私は思います。