演奏技術の上達のためには練習が不可欠ですが、練習をするときのテンポ(速さ)はかなり大事なポイントになります。やたら速いテンポで練習をしても上達しないし、だからと言ってやたら遅いテンポで練習しても上達はできません。
速くて弾くことのできないパッセージを練習するには、最初は比較的遅めのテンポで練習を始めるのが良いかと思います。早口言葉を練習するようなもので、まずは言うべき内容を把握できなければ、速くしてもまともに弾くことはできません。
逆に、ゆっくり歌うようなパッセージを練習するには、最初は比較的速めのテンポの方が練習しやすいし、練習時間も少なくて済むかと思います。また、最初から感情を入れて練習をするべきではなく、その面でもやや速めのテンポの方が練習しやすいように思えます。
それぞれ、次第にCDなどで聴かれるようなテンポにしていくわけですが、特に速いパッセージは、「充分余裕を持って弾くことのできる最も速いの速さ」で練習なさることをお勧めします。すなわち、音程や弓の加減などを注意しつつ、速いテンポにしていかなければならないわけで、注意しきれないような速さはあまり練習にはならないと考えます。
ただ速く弾くだけならそれほど難しいことではありません。「正確に」「良い音で」速いテンポで弾くことが難しい。逆にゆったりとしたメロディもうっかりするとリズムを間違って覚えてしまうし、感情が入りすぎると聴く側としては白けた気持ちになってしまいます。
効率よく上達するためには遅からず、速からずのテンポでの練習をお勧めしたいと思います。