「弓を持っている」と考えると、普段なんてことのない動きが非常に難しいものになる場合があります。
「弓はひじから先で動かしなさい」と言われる場合があります。ある条件(速いパッセージを弾く場合など)では正しい場合もあります。ですが、ボーイングはひじの関節だけで行うわけではなく、腕の各々の関節が少しずつ動くことで成り立ちます。つまり、特殊な動きではなく木の棒をただ横に動かしている時の腕の動かし方と同じです。
必要以上に、ボーイング(弓を動かす動作)を複雑なものと考えるべきではなく、ごく常識的に棒をこすりつける動きと考えてはいかがでしょうか。ボーイングはあまりにいろんなことが言われるため「下げ弓の時は前に押し出して、上げ弓の時はひじから・・・」、などとひどく難しいものになりがちですが、要はただ単に木の棒を一定に動かす動きに過ぎません。
うまく弓が動かない時は、鉛筆やボールペンなど、単なる棒をまっすぐに動かそうとやってみて頂きたいと思います。普通の人間なら、ひじの関節だけでなく腕の付け根の関節も、手首の関節も各々動くはずです。
弓をまっすぐ動かす上でも、また、音色の上でも、ただ単に木の棒を動かすつもりでなさってみて頂きたいと思います。わたしはむしろこちらの方が近道と考えます。
ボーイングのご参考になればと思います。