四分音符や八分音符など楽譜に記されるリズムについては多くの方が知識としてご存じのことでしょう。四分音符は「タン」、八分音符は「タ」などと示されることも多くの方がご存じでしょう。それ自体は間違っているわけではありませんし、一般的な指導法のひとつです。読譜の入門書にも多く記されている説明方法です。
ただ、特にヴァイオリンなど音の伸びる楽器の場合はリズムが「長さ」を持っている意識が必要です。どんなに短い音符であっても音には長さがあるし、もちろん長い音符は最後まで音を出し続けている必要があります。そのためには「タン」や「タ」といったアタックの音ではなく、全てが「ター」など音を伸ばしている意識が必要です。
当たり前のようなことですが、この点がきちんとできるかどうかがヴァイオリンらしい音になるかどうかのひとつのポイントですので重要です。
何回かに分けてよく問題になる「付点」や、3拍子などの「拍子」、スタッカートなどの「音の長さ」について必要なトピックのみをヴァイオリンで弾く場合に即して記して行きたいと思います。
まず基本的な考えとして、リズムは分数でできていることをお示ししたいと思います。分数と言うと難しくなりますので、時計の針と考えると良いでしょう。回転する時計の針の動きがテンポと見なします。何分の箇所まで音を伸ばすのかを考えます。
全音符を1回転:60分と見なすと、
・2分音符は30分(全音符の1/2)まで動き続ける長さ
・4分音符は15分(全音符の1/4)まで動き続ける長さ
・8分音符は7.5分(全音符の1/8)まで動き続ける長さ
などと考えられます。これは比較的どの方にとっても分かりやすいかと思います。
けれども、16分音符(3.75分)や32分音符(1.875分)、64分音符(0.9375分)・・・となると細かくなり過ぎて分からなくなってきてしまいます。
その場合、1回転を16分音符とするように、基準となる長さを変更すれば、
・32分音符が30分(16分音符の1/2の長さ)
・64分音符が15分(16分音符の1/4の長さ)
などと考えることができます。
元となる単位が変わるため頭がこんがらがってきますが、この元となる単位の変換が音楽では多く行われます。リズムが分からなくなる場合はこういった単位の変化などにより分数の計算ができなくなることが原因であるケースがしばしば見られます。
まずはリズムは音の長さの比率でできている、その単位はしばしば変わるということだけがお分かり頂ければと思います。
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