弓は想像以上にもろい - ヴァイオリンの取説
弓も丁寧に扱うように言われます。ヴァイオリンの値段が高いのは有名ですが、弓にも1000万円単位のものがあります。特にトルテという人が作った弓は、高価なことでもヴァイオリンの世界では有名です。
ヴァイオリンはかなり破損しても修理して使い続けることが可能です。ですが、弓は折れてしまったら修復不能と言っても過言ではありません※。弓にはスティックと呼ばれる木の棒の部分があります。この木の棒がヴァイオリンの弦の振動と共振して、音色や弾き心地を決めます。折れた場合、接着しても、もとの通りの振動にするのは大変に困難と想像できますでしょうか?
弓は簡単に折れます。わたしはこれまでに2度折ったことがあります。一度は、子供の頃、部屋のドアと柱に引っかかって折れました。もう一度は大人になってからで、弓に自然にヒビが入って折れてしまいました(古い弓で昔のオーナーの扱いが悪かったらしく、傷が多めでした。傷からヒビが成長したようです)。
弓のスティックは非常に堅い木で、かつ、カラカラに乾いた枯れ枝のようなものです。大変に堅い木でできているからこそ、細いのに強くバネのような働きをします。竹ひごと比べれば、いかに堅く、強い木を使用されているかお分かりかと思います。その一方、竹と異なり、限界を超えたら粘るようなことはほとんどありません。
投げたり踏んだりするのは論外としても、練習の休憩時間などにケースに橋渡ししていることはありませんか?特に弓の先がケースのふたをまたいでいませんか?何かの拍子にふたが閉まったら、ケースがギロチンとなり一発で折れます。使わないときは、短時間であっても、ヴァイオリンも弓もケースにきちんとしまうことをお勧めします。
せっかくの弓をこわしてしまわないための参考になれば幸いです。
※ 芯に補強のための棒を入れたりして修理することは可能は可能ですが、音色や弾いた感じが大きく変わってしまい、本当の意味での修復にはなりません。
←Back Next→
始め方がわかる
トップ
(C)Caprice