ヴィヴァルディの「四季」がきらいでした。
特に「春」がきらいで、あまりにも有名、あまりにも使い尽くされた音楽、そして、イ・ムジチの整った演奏からは興奮や楽しみを見いだすことはできませんでした。
バロックは細部や様式にこだわるあまりか、プロのみならずアマチュアの演奏でさえも無機質な演奏が多いように思えます。多くのバロック音楽は既に時代に耐えきれないもの、ヴィヴァルディの「四季」は、ひからびたスルメのような既に死んでしまった音楽と思っていました。
ところが、とある書籍で勧められていたCDを買って聴いてみたら、そんな考えはぶっとびました。ファビオ・ビオンディという方がソロを弾いているバロック楽器による演奏で、フランスでは大変に話題になった録音だそうです。
ファビオ・ビオンディ ヴィヴァルディ「四季」
Opus Production, Paris
とにかく生き生きしている。それに尽きます。ナイジェル・ケネディがソロを取っているCDがかつて話題になりましたが、ケネディのものは問題にならないくらい、表情豊かで、激しく、エキサイティング・スリリングです。「四季」がこんなに生き生きした音楽とは思いもしませんでした。
奇をてらった演奏ではありませんが、ある意味やり放題ですので、楽譜が、様式がとこだわる方にはお勧めしません。ですが、聴いて興奮するのが音楽であり、楽器の音であるはず。ヴィヴァルディだって、きっと熱いイタリア人で音楽を聴いて、演奏して興奮していたはずです。
少なくとも私は音楽から興奮したいし、バロックだって感動的でなければならないと思っています。クラシックはとかく「静かねえ」「落ち着くよ」と言われますがこれは最悪の評価。「楽しかった」「元気になれた」と言うのが最高の評価と思います。わたしにはこの演奏は「楽しい」し「元気」になれます。
海外のマイナーレーベル(フランス製らしい)らしく録音も良いし、使っている楽器もテストーレやモンタニアーナ、デコネなど超一流ではありませんがオールドの良い楽器を使っています。クラシック音楽が退屈と思う方、もっと面白い演奏を聴きたいという方にぜひ聴いていただきたいと思います。
AmazonでこのCDの詳細を見る(いくつか版があるようです。AmazonではBoxSetの在庫があるようです)
→Vivaldi: Le Quattro Stagioni(from UK)
→Vivaldi: Le quattro stagioni (The Four Seasons)(from US))
→Vivaldi: The Four Seasons; String Concertos (Box Set)
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