ヴァイオリンは長い歴史を持つ楽器で、その歴史の中で数多くの名演奏家を生み出してきました。少し気分を変えて、古い演奏家のCDからお勧めできるものをご紹介いたします。
ヴァイオリンの世界では10年前くらいは古いとは言いません。古いというのは、ここでは戦前(1945年以前)を指すことにします。今回紹介するのは70年前から80年前くらいの録音です。もちろん、SP録音で音はあまり良いとは言えません。
ですが、今の演奏とはひと味違う、独特の味わいがあります。例えるなら、合皮の製品と本物の皮製品のような違いでしょうか。一見、似ているがどことなく違う。そんな体験のできるCDを紹介いたします。
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 フリッツ・クライスラー |
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クライスラーは20世紀前半を代表するヴァイオリニストのひとりで、作曲家としても「美しきロスマリン」などの曲で知られています。活躍していた頃から、既に古いスタイルで弾く演奏家と言われていたようです。
演奏スタイルの古さを感じるのは確かですが、ぜひともベートーヴェンのコンチェルトを聴いてみてください。ソロの入りの「ラドシレドミレファ」。こんな香りを感じるような演奏は誰もできません。
音は古いです。録音が1925〜27年。関東大震災の頃の録音です。あまりの音の悪さに、最初はがっかりするかもしれませんが、何度も聴いているうちに好きになるのではないかと思います。
また、ベートーヴェンのコンチェルトを練習するなら、ぜひ参考にして欲しいCDです。
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PAGANINI VIOLIN CONCERTO No.1,etc. MENUHIN EMI(洋盤) |
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メニューイン(メニューヒンとも呼ばれますが、メニューインに統一します。)は1930年頃から1950年頃にかけて活躍したヴァイオリニストです。
ヴァイオリニストとしては、1980年代まで演奏活動をしていたのですが、メニューインの一番良い演奏は、1930年代の演奏とわたしは思います。
メニューインは1916年生まれ。つまり、14歳から20歳前半までの演奏ということ。大変な神童だったわけです。
このCDは1930〜38年の録音で、特に聴きどころは14歳の時の「ラ・カンパネラ」と22歳の時の「モーゼ変奏曲」。うますぎます。単に、テクニックが優れているわけではなく、他の人にはできない、独特の歌い回しがあります。神童で比較できるとしたら、五嶋みどりだけとわたしは思います。
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