パフリングの材料は何でできているでしょうか?黒いところの材料は?パフリングの材料は流派によってまちまちで、使用された材料の特徴が真贋を判断する手がかりにできる場合があります。
黒いところに黒檀(ebony)を使う流派、鯨のひげを使う流派、染めた紙を使う流派などがありますが、ストラディヴァリなど昔のクレモナの製作家は黒く染めた西洋なし(pear)を材料に使用したと言われています。
ヴァイオリンを使用すると、人の体が接する部分はまずニスが剥げます。クレモナの古い製作家が使用したような染めたパフリングの場合は、ニスが剥げた部分の染料が抜けて次第に退色しグレーになってきます。
特に目立つのは裏板の左肩の部分(左手が当たる部分)と下の部分(首の当たる部分)です。写真をご覧になってみて下さい。パフリングが真っ黒ではなく、グレーに見えることがおわかりでしょうか?
わたしが見た範囲でも、ストラディヴァリに限らず、アマティ、グァルネリ、ベルゴンツィなどのクレモナの楽器でパフリングの色がグレーがかっている楽器をよく見ます。手の当たる部分だけでなく、多くの部分のパフリングがグレーがかっている楽器もあるし、逆にほとんど確認できない楽器もあります※。ですが、このパフリングの色はクレモナの古い楽器を判断する有力な手がかりと言われる特徴です。
ぜひ、各種図鑑やNational Music Museum (http://www.usd.edu/smm/Collections/CremoneseChecklist.html)や
Tarisio (http://www.tarisio.com/web/index.php)などで、いろんな楽器のパフリングを見たり、お手持ちの楽器のパフリングを眺めてみて下さい。楽器を見るための手がかりになるはずです。
※後世の人がパフリングを作り直している楽器もありますので、必ずしもこの特徴が見られるとは限りません。また、この特徴を作ってあるレプリカもありますので、必ずしも本物とも言えません。
←前の記事「パフリングの合わせ目:楽器鑑定の知識」を読む
→次の記事「木くぎの位置や形状:楽器鑑定の知識」を読む
→ 一覧ページに戻る → トップページに戻る
|