先日(2006年5月16日)、クリスティーズのオークションで、1707年のA.ストラディヴァリ「Hammer(竹澤恭子さんが使われていた楽器)」が354万ドルで落札されました。
「ストラディヴァリってのは4億円もするほど良い音がするヴァイオリンなのか?」これは、多くの方にとって素朴に疑問に思う点ではないでしょうか?
書籍などにも「安価な楽器と高価な名器を弾き比べて客観的に聞き比べた場合、必ずしも高い方が良い音と判定されるわけではない」というエピソードが記されています。大した差がないのになぜ何億円もするのか。単なるブランド志向、集団催眠術なのでしょうか?
私自身、「ex.〜」といった名前の付いたようなストラディヴァリ(最近では、「デュランティ」や「ドルフィン」が有名ですね)やグァルネリは弾いたことはありません。ですが、そういった名器と考えられる楽器を複数の場所で弾いたことはありますので、その印象でお話しさせていただきたいと思います。
楽器の価格や音に関しては、あまりにも考えるべきパラメータが多いので、次回以降、少しずつ整理して丁寧にお話ししていくことにしましょう。
今回は、「製作家の名前、価格に関係なく、楽器によって音色や音量、演奏時のタッチにかなり大きな差はある。そして、それらの音に関する要素は、楽器の素質のみならず、演奏者の腕、弓による違い、楽器のコンディション、調整する人のセンスと調整の腕に大きく影響を受ける」という結論だけお示ししておくことにします。
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