f字孔。ヴァイオリンの特徴のひとつです。なぜ、fの字なのか?female(女性)のfという説、強度の都合という説、など諸説ありますが、よく分かっていません。
f字孔を見るポイントは、f字孔の形です。ストラディヴァリ(以下ストラド)とグァルネリ・デル・ジェス(以下デル・ジェス)の写真を手にしてみましょう。f字孔の形は楽器によってずいぶん違うことがお分かりでしょうか?
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Antonio Stradivari,
Cremona, 1714
The "Soil" |
Guiseppe Guarneri del Gesu,
Cremona, 1737
The "Stern, ex Panette" |
※画像はTarisio(http://www.tarisio.com)掲載の画像より、模写 |
ストラドのf字孔は丸みを帯びています。一方、デル・ジェスのf字孔は尖っています。この形を覚えて、いろんな楽器を見てみましょう。実に多くの楽器がストラドやデル・ジェスをモデルにしていることが分かるのではないでしょうか?
f字孔の形がストラド型だから、あるいはデル・ジェス型だからといって、楽器や音色の良し悪しには関係ありません※。むしろ、f字孔を含めたヴァイオリンの顔つきを眺めると、ヴァイオリンが「見えて」きます。
f字孔を含めた造形は、人間で言えば目や鼻の造形のようなものです。目鼻立ちのきれいな人が優れた人とは限りませんが、何となく性格や職業を想像することはできますね。
たくさん楽器の顔を見て、弾いてを繰り返すことで、顔つきから音色が想像できるようになってきます。それが、演奏家にとって必要な、ヴァイオリンを見る目なのです。
※f字孔の形や大きさは振動板の振動特性を変えるし、スピーカーのバスレフポートと同じく共鳴周波数を変えるため、音色は変わります。ですが、「良い音」になるとは限らないという意味で、良し悪しとは無関係です。
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