ヴァイオリンのニス(ワニスも同じ意味です)は想像をふくらませる要素があるのでしょうか。さまざまな伝説があります。
「特別配合の秘伝のニスを名匠は使用した」、「ニスには人の血液が混ぜてある」、「現在でも柔らかく指で押すと指紋が残る」、といった伝説です。
話としてはおもしろいのですが、まずは新作楽器のニスを観察してみましょう。モラッシー、ビソロッティ、コニアをはじめとした現代イタリアの楽器は実にきれいに塗ってあります。飴色とよく言われますが、キャンディの色とは違います。お祭りで売っているりんごあめがかなり近いと思います。
光にかざすとより美しい。かざす光はハロゲンランプが最適です(近づけすぎて熱を与えないように)。指先でそっと触ってみましょう。柔らかいタッチはありますが、指紋が残るようなものではないことがお分かりでしょうか。
ストラディヴァリもグァルネリも昔はこんな感じだったのでしょうか。
見た目に上品な感じの光沢で、その反面、派手でもあり、素直に美しく感じられるものが、良いニスと思います。決して、柔らかいから良いわけでもなく、硬すぎず、柔らかすぎず。良いものは全てが高いレベルでの中庸と思います。
伝説に惑わされず、そんな目で、新作楽器のニスを眺めてみてはいかがでしょうか?
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