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リベート:先生と楽器購入 2/5

例えば、100万円のヴァイオリンを先生が紹介して生徒に購入させたとします。この場合、楽器店から10万円〜30万円程度のお金が「お礼金」「紹 介料」として先生に支払われる習慣があります。このように販売価格の10%〜30%の金額が楽器店から教師に支払われる習慣を「リベート」と呼んでいま す。

リベート自体は違法なものではありません。多くの業界で行われている「キックバック」「販売奨励金」などと同じ意味で、拡大中の市場では有効な販売戦略です。

ですが、拡大をしていた20年〜30年前と異なり、現在ヴァイオリン界にはそれほどの勢いはありません。情報面でも楽器の情報を楽器店だけが持っていた20年〜30年前とは大きく異なります。そう言った市場では「リベート」はマイナスに働きます。

生徒にとっては20%割り増しで購入することと同じです。生徒自身が100万円の楽器を購入するときに、ついてきてもらった教師に選定料として20万円を支払う気になるでしょうか?金額の問題ではなく、右から左に楽器を動かす作業にどれだけお金を払えるかと言うことです。

楽器店にとっては「いつもお世話になっています。今後もよろしく。」という意味の支払いです。商売の上では儲けが少なくなるため支払いたいお金ではありません。そして、図々しくも、「お礼金」の範疇を超えて「少ねえぞ」と楽器店に増額を要求する教師もいるという噂も聞きます。

楽器が不当に高くなるのは長期的視点では大きなマイナスになります。

楽器本来の価値に比べ値段が不当に高く → ヴァイオリン人口の減少 → ヴァイオリンマーケットの縮小、と悪循環につながります。マーケットの縮小は、教師にとっても、楽器店にとっても、良いことではありません。

教師も楽器店も目先の利益を求めるなら、リベートは手っ取り早い方法です。ですが、長期的に見た場合、ヴァイオリンの世界全体・ヴァイオリン文化全体がしぼむことになり、結局は自分の首を絞めることになります。その意味では「悪」です。

高額なリベートには、このような意味があるのです。リベート目的に楽器購入を強要する教師は目先の自分の利益しか考えていません。そのような視点で、教師の行動を捉えてみてはいかがでしょうか?

※リベートの支払いを一切行わないという楽器店もあります。私は楽器の紹介・選定はしませんが、現在そういう楽器店とつきあっています。私を含め、多くの教師にとっても、しがらみは少ない方が気が楽なものです。

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