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楽器を所有する喜びは、音だけでなく見た目によるものもあります。単に色だけでなく、造形の美しさ、木目の美しさもあります。実際に、「ハンサムなヴァイオリン」という表現もありますし、オールド楽器にあこがれる場合もあるかと思います※。
ぜひ機会があるごとに、良いと言われるヴァイオリンをご覧になってみて頂きたいと思います。また、ヴァイオリンや弓を見るだけでなく、博物館などで国宝級の名品の骨董をご覧になってみて頂きたいと思います。名品のたたずまいと、良いヴァイオリンの見た目には共通項があります。
名品は思いのほか派手ではありません。むしろ、地味とも言えます。けれども、遠くから見ても存在感があり、まわりの風景から浮き出るように見えます。ヴァイオリンも同じで、金ラメのスーツみたいに見える楽器もあれば、ボロ布みたいに見える楽器もあります。様々な楽器がある中で、見た目に静かなのに存在感を示す楽器を見つけて頂ければと思います。
この意味で、見た目と音はある程度一致します。良い楽器は弾かなくても見ただけで分かると言われるゆえんです。見た目にも派手すぎず地味すぎずのちょうどいい加減と思って楽器もご覧になってみて頂きたいと思います。
※オールドヴァイオリンへの憧憬は昔からあり、数多くのオールド仕上げの楽器があります。わたし自身もオールド仕上げの新作楽器を使っていたことがあります。