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左右が対称になっていないヴァイオリンがあります。f字孔の形や高さが左右で違ったり、スクロールが左右同じでなかったり。こういうものを見ると日本人の私たちとしては許せないものがあるし、これで大丈夫かと不安に思う方もいらっしゃると思います。
新作のヴァイオリンには定規で測ったように左右対称なヴァイオリンが多く見られます。イタリア製だけでなく中国製の楽器もかなり正確に作られています。ですが、その一方、古いヴァイオリンではむしろ左右非対称の方が多いくらいです。
美しいヴァイオリンの代名詞のようなストラディヴァリでも、実は左右対象ではありません。f字孔は左右の高さが合っていないことも多いし※、スクロールも左右で形が違ったり正面を向いていないことが少なからずあります。
極めて均整の取れたストラディヴァリでさえこんな調子なので、他の製作家は本当にさまざまです。グァルネリ・デル・ジェスはf字孔の傾きや大きさが左右で異なっている事で有名ですが、ストリオーニやJ.B.グァダニーニなど多くの楽器でも左右非対称な楽器を多くあります。
意図的にずらしたのか、イタリア人の作業は昔からそんなものなのか、はたまた経年による歪みかわかりません。いずれにしても、形が左右揃っていないことにそれほど気にする必要はなさそうです。
定規で測れるような精密さより、板の削り方の巧みさ、スクロールの削り方の迷いのなさなどが良い楽器を判断する手がかりになります。
※定在波による音のムラを回避するためにf字孔を左右でずらしたという説があります。