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2006年5月のクリスティーズのオークションで、1707年のアントニオ・ストラディヴァリ「ex.Hammer(竹澤恭子さんが使われていた楽器)」が354万ドルで落札されました。
「ストラディヴァリってのは4億円もするほど良い音がするヴァイオリンなのか?」これは、多くの方にとって素朴に疑問に思う点ではないでしょうか?
書籍などにも「安価な楽器と高価な名器を弾き比べて客観的に聴き比べた場合、必ずしも高価な方が良い音と判定されるわけではない」というエピソードが記されています。大した差がないのになぜ何億円もするのか。単なるブランド志向、集団催眠術なのでしょうか?
私自身はストラディヴァリをはじめとするイタリアの名器を200本以上触っていますので、少しばかりは印象をお伝えできるのではないかと思います。書籍に書いてあることだけではなく、実際に触った印象でお話しさせていただきたいと思います。
楽器の価格や音に関しては、あまりにも考えるべきパラメータが多いので、少しずつ整理して丁寧にお話ししていくことにしましょう。
まず、「楽器によって音色や音量、演奏時のタッチに大きな差はある。そして、音に関する要素は、楽器の素質だけでなく、演奏者の腕、弓の差、楽器のコンディション、調整した人のセンスと調整の腕、に大きく左右される」という結論をお示ししておくことにします。