パフリングの合わせ目:楽器鑑定の知識
ストラディヴァリの大きな特徴として、パフリング(ヴァイオリンのふちにある2本の線)の形状があります。
まずは写真を見て下さい。
→写真1(ストラディヴァリ)
これは1693年のストラディヴァリの右上コーナー(Cバウツの角の部分)です(http://www.usd.edu/smm/Violins/Stradivari3598/3598StradViolinIndex.htmlより引用)
パフリングの合わせ目(縦と横が交差する部分)に注目してみて下さい。合わせ目が、コーナーの中央に向かってはおらず、少し下の方に向かっているのがおわかりでしょうか?次の写真で比較するとわかりやすいかと思います(写真左はニコラ・ベルゴンツィ、写真右がストラディヴァリ。ベルゴンツィの写真はhttp://www.usd.edu/smm/Violas/Bergonzi6046/Bergonziviolaindex.htmlより引用)。
→写真2(ベルゴンツィとストラディヴァリの比較)
ベルゴンツィがコーナーの中央にめがけてパフリングが合わさっているのに対し、ストラディヴァリは少し下向きになっています。
右下のコーナーでは少し上向きになります。左側も、上はやや下向きに、下はやや上向きに。すなわち、Cバウツの中央に向かってパフリングが合わさっています。
このパフリングの形状はストラディヴァリの大きな特徴です。わたしが触ったストラドも、図鑑のストラドも、また、ストラディヴァリのコピー楽器も多くがこのようになっています。そのくらい有名な特徴と言って過言ではありません。逆に言うと、ストラディヴァリのラベルが入っているが、このパフリングの特徴を満たさない楽器は、全く違う楽器である可能性が高まります。
パフリングは製作家の個性がかなり強く出る部分といって良いかと思います。G.B.グァダニーニのパフリングは太くて幅の広いことが多いし、ガリアーノ・ファミリーのパフリングは薄味に見えると言った具合です※。
ぜひ、各種図鑑やNational Music Museum(http://www.usd.edu/smm/Collections/CremoneseChecklist.html)やTarisio(http://www.tarisio.com/web/index.php)などで、いろんな楽器のパフリングを見たり、お手持ちの楽器のパフリングを眺めてみて下さい。楽器を見るための手がかりになるはずです。
※ガリアーノ・ファミリーのパフリングは紙を染めたものと言われます。
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