弾かずに良し悪しを知る - 安くて良い楽器を探すために
あまり弾けないけれど良いヴァイオリンを選びたい、これから始めるけれど選びようがないという場合があるかと思います。そこで、「弦楽器フェア」などの展示会で、弾くことなくヴァイオリンの良し悪しを判断する方法をお話したいと思います。
極めて大雑把に言って「良いヴァイオリン=よく鳴る」という面があります。「よく鳴る」というのは「大きい音が出る」だけでなく「迫力のある音が出る」「遠くまで音が通る」という要素を含みます。また、高音より低音の方が楽器による差が大きく出ます。極めて大雑把に言って、低音がよく鳴る楽器が「よく鳴る」楽器で、良い楽器のひとつの基準といっても過言ではありません。
鳴り加減は、弦をはじくことである程度判断できます。特にD線、G線の鳴り方に注意して、多くのヴァイオリンをはじいてみて下さい。ヴァイオリンによる差、音の迫力、音の張りなどが分かるはずです。音の良し悪しには好みがあるかと思いますが、はじいたときに身体に響くような音、迫力を感じる楽器は水準以上の楽器と、わたしは考えています。
もうひとつは、ヴァイオリンの胴体を軽く叩く方法です。ドアをノックする要領で、軽く表板、裏板、横板を中指の関節で叩きます。強く叩くと製作家や楽器店に怒られるので注意して下さい※。表板、裏板、横板いずれも一カ所だけでなく、多くの場所をノックしてみて下さい。この時に、「カンカン」と硬い木材の音ではなく、打楽器のように音楽的な音を感じるヴァイオリンは水準を超えたものが多いようです。多くのヴァイオリンを叩いてみることで「音楽的」という感じはお分かりになるかと思います。
このように楽器を弾かないでも、大雑把には楽器の良し悪しを知ることができます。上記のやり方は楽器店の方がよくやっていますので、機会を見つけては参考にしてみて下さい。また、展示会などの機会なら多くの楽器で音を聴くことができますので、ぜひ試してみて頂ければと思います。
※楽器店や製作家の方に、軽く叩いて良いか許可をもらうと完璧と思います。一方、はじくのは許可なしでも問題は生じないはずです。
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