【あご当ての下】
昔はあご当ては無く、表板に直接あごを乗せて弾いていました※。特に演奏家が男性の場合、ひげを擦りつけることになるため、その部分の表板が減ります。
【ヴァイオリンの下部】
昔は肩当てを使用しませんでした。従って、首および鎖骨とヴァイオリンが接触する部分が減ります。表板は木目の夏目が特に少なくなり、裏板は薄くなります。裏板は演奏の衣装などと擦れ合うことで減っていくのでしょう。
【表板の右肩、裏板の左肩】
左手とヴァイオリンの胴体が接する部分です。高いポジションで弾くと、左手が胴体に当たります。表板の右肩の部分、裏板の左肩の部分が減っているヴァイオリンが数多くあります。古いヴァイオリンで、パフリングと板の輪郭との距離が一定ではないのは、多くの場合減った結果です。
【ペグを差し込む穴】
調弦するたびに擦れ合うため、多く弾いたヴァイオリンはペグ穴が大きくなります。多くの古いヴァイオリンは、大きくなった穴を埋めて穴を開け直してある(ブッシングされている)ことが通常です。
あまりにも減りすぎて、新しい木材を接着して修復してあるヴァイオリンも数多くあります。従って、必ずしも上記のような減り方が見られるわけではありません。ですが、使えば必ず減る部分があると言うことに注意して、展示会などでヴァイオリンを見てみてはいかがでしょうか。
※主に表板の左側(スクロールを上にした場合)に乗せて弾かれることが多かったようですが、表板の右側に乗せて弾かれた場合もあったようです。その場合は、テールピースの右側が減ります。