ツゲだから良いというわけではない
ペグ・あご当て・テールピース・エンドピンの4点セットが、ツゲ製(茶色のもの)で、装飾入り(ヒルモデルなどと言われます)のものを付けてあるヴァイオリンがあります。しかし、これらの部品が付いているから高級なヴァイオリン、と思いこんでいる方が少なからずいらっしゃるようです。
実際、ストラディヴァリやグァルネリを始めとした名器にツゲ製の4点セットがセッティングされていることが多いのは事実です。そのため「名器にはツゲ製の4点セット」→「ツゲ製の4点セットがついているヴァイオリンは名器」という発想になるのかもしれません。
ですが、4点セットはヴァイオリン自体とのバランスで選んで付けるものであって、ヴァイオリン自体の良し悪しとは全く関係ありません。ミルシティンのストラディヴァリが黒檀の4点セットだったことだけでも、反例になるかと思います。
もし、4点セットの材質でヴァイオリンの良し悪しを決めているような楽器商であれば、そのお店とはおつきあいを避けた方がよいと思います。
ヴァイオリンの場合、交換可能な部品がヴァイオリンの価値や評価を決めることはありません。ヴァイオリンの命は表板・裏板・横板・スクロール、そして、その結果出てくる「音」です。
※4点セットが音に影響を与えるのは事実です。ですが、それは調整の範疇であって、ヴァイオリン自体の良し悪しとは無関係です。
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