表板を見るポイントは「雰囲気」
表板にはf字孔があるし、音への影響が強い部分で、見どころはたくさんあります。しかし、ここではそういった部分部分については、特に書かないことにします。
使ってある木の良し悪しについて喧伝されますが、これはあまり信用できないと思います。
正直に言ってしまいます。わたしには木材の善し悪しは分かりません!15年ほど多くのヴァイオリンを見てきましたが、よほどひどいものでない限り、材料と音色の関係は無いように思えます。
マスターメードのヴァイオリンは、製作の時点でそれなりの材料を使っているためかもしれませんし、市場に出てくる段階で、選別されているためかもしれません。
普通の演奏家や愛好家が手に取ることのできる楽器の中で良し悪しの判断をするには、木材よりも、楽器の持つ全体的な「雰囲気」を見るようにした方が正確なようです。
「雰囲気」なんて曖昧な言い方とは思うのですが、人を見たときに怖そう、とか、信頼できそうと何となく分かるのと同じことです。
良いヴァイオリンは遠目にも存在感を感じられることが多く、名画や骨董品と同じ要素を持っていると感じます。きっと、工作の精度や製作家のセンス、材料の良し悪しなど、さまざまな要素を全て織り込んで、「雰囲気」をつくるのでしょう。
絵画と違って、見て感涙を流すというものではありません。あくまでも、存在感の違いです。そして、存在感のある楽器を弾いてみると良い音がする、ということは非常に多い。「雰囲気」と音色には相関があると思います。
展示会や写真集を見る際に、「雰囲気」を意識していろんなヴァイオリンを見比べてみてはいかがでしょうか?
←Back Next→
ヴァイオリンを選ぶ
トップ
(C)Caprice