音階をぱらぱら弾くだけの練習は無意味です


音階の練習というと、速いテンポでパラパラと弾くことのように思われがちです。ともすれば、音程も合っていないのに、無意識にテンポだけやみくもに上げてしまっていることもあるかと思います。

指ならしに音階を使うことはありますが、音階は決して指ならし用ではありません。また、指を素早く動かす練習でもありません。音の動きのパターンをいつでもどんな時でも弾けるようにし、また堅固なものにするための練習です。

従って、正確な音程がキープできなければならないし、どんなテンポでも、特に遅いテンポでも弾けなければなりません。また、ボーイング(弓づかい)のパターンはもちろん、「音色の美しさ」、「音階が音楽的になっているか」にも注意する必要があります。

例えるなら、幅跳びで1mなら1m、50cmなら50cmと常に正しい距離で飛ぶ練習のようなものです。走っていても、ゆっくり歩いていても、正しい距離で飛べることはかなり難しいことではないでしょうか?相当注意を払って着地点をねらわないと、身に付かないと思います。

音階でも指の着地点を正確にねらうことは、どれだけ上達しても意識的にしなければならないことです。そして、ある程度正確にできるようになれば、もっと高い精度を目指さなければなりません。

そのためには、充分に気を配ることができるテンポで、しかし、少し緊張を要するテンポで練習することが上達につながると思います。もちろん、音程のチェックには別途ゆっくりのテンポでピアノなどの鍵盤楽器やチューナーも併用して練習した方が良いと思います※。

音階練習を意味のあるものにする参考になれば幸いです。

※どうしても純正律にこだわるなら、純正律を測定できるチューナー(ストロボ・クロマティック・チューナー)もありますので、それを使用するのも手でしょう。いずれにしても、何らかの方法で音程のチェックは必要です。
←Back Next→
ヴァイオリン演奏のヒント
トップ

(C)Caprice