ヴァイオリンの歌に耳を傾ける


名器には感情や性格といった人間性が備わっています。もちろん、本気で楽器に生命が宿っていると信じているわけではありませんよ。ですが、弾いてみると、感情を持っているとしか思えないようなレスポンスがあるのも、事実です。

良い楽器(便宜上数千万円クラスの楽器)と良い弓(便宜上数百万円クラスの弓)を弾く機会があれば、ぜひとも一度試してみて欲しいと思います。自分では表現も、表情も付けようとせず、弓の圧力すらかけようとせず、ヴァイオリンが歌いたいように歌わせてやるようにします。

すると、演奏家の方ではなく楽器の方に音楽が宿っているように、豊かな音楽がわき出てきます。きっと、倍音が豊かであったり、レスポンスの良さに起因すると思うのですが、「ヴァイオリンが自分で歌っている」という感触があるものです。

ヴァイオリンの歌を聴いてやるように、演奏(というか、アシスト)してやると、美しい音楽が出てきます。楽器自身の歌に耳を傾けてみてはいかがでしょう。

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