経験年数と良い音-レイトとアーリー6
ヴァイオリンの経験年数を気にする方がいます。経験3年だから弾けない、経験10年だから弾けるという調子です。経験年数はヴァイオリン教室に最初に行くときに聞かれたり、アマチュア・オーケストラの入団時に聞かれたりことが多いようですが、経験年数を過度に気にする必要はないとわたしは思います。
もちろん、同じように進歩を続けていれば経験年数が長いほど上達するものですが、実際のところは経験年数と演奏の腕前はあまり関係なく、特に音色に関しては練習の仕方・弾き方の方がずっと大事です。
わたし自身はレッスンにいらっしゃる方に経験年数を聞くことはありません。そんなことを聞かないでもどれくらい弾けるかわかるからです。楽器を手にする様子を見ればある程度経験年数はわかるし、調弦の様子でどのレベルの先生に習っておられたか、一音二音弾いてもらえば先生がどんな教え方をしているか、どんな流派なのかもわかります。
芸事は年数を重んじる風潮がありますが、経験が長いからと言って良い音が出るわけではありません。かつては良い音が出るまでは10年と言われたものですが、きちんと指導があれば1年もあれば良い音は出るものです※。
どんな曲でも、どんな場合でも良い演奏ができるためには、年数だけでなく場数も含め多くの経験があった方が有利でしょう。ですが、良い音で弾けるかどうかについては、年数ではなく、大人から子供からも関係なく「適切な加減で弾いているか」が全てです。
経験30年でも音が汚い人もいるし、経験2年でも良い音の人もいる。始めたばかりの方でも、「弓の速さは速すぎず遅すぎず、圧力は強すぎず弱すぎず、比較的駒寄り(指板と駒の中央から3mm駒寄り程度が目安)で、音の長さは譜面の指定通り、音の最後まで一定に」、で概ね立派な演奏に聞こえます。どうぞ経験年数や始めた時期を過度に気になさらないようにして頂きたいと思います。
※ 宣伝のように捉えないで頂きたいのですが、うちに半年~1年ほど定期的にレッスンにいらっしゃっている方で、かなり良い音になっている方は何人もいます。楽器の演奏は物理現象なのですから、適切な加減で弾けば良い音は年数に関係なく必ず出るものです。
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