真面目過ぎは下手になる-レイトとアーリー4
ヴァイオリンに関わる人は、概して真面目な人が多いように思えます。楽器のイメージのせいなのか、伝統的な教育方法が残っているためなのか、神経質に真面目に取り組む方が多い印象があります。
完璧を目指して真剣に・真面目に取り組むのは悪いことではないのですが、おかしな方向に真面目過ぎないで、と申し上げたいと思います。真面目過ぎるのは大人ほど陥りやすい問題のようです。
真面目な人ほど、「練習計画」を立てたり「なぜ自分がうまく弾けないか」を分析してしまうことがあります。また、「こうでなくては」とこだわってしまう場合もあります。研究として悪くありませんが、計画を立てても、弾けない理由を探っても上手にはなりません。過度なこだわりはもっとよくありません。
むしろ、「あ、良い感じ」「良い音が出た気がする」「指がスムーズに動いた気がする」など、「うまく弾けた」感触や印象を覚えて、それをいつでも再現できるようにした方が上達につながります。「思いつき」や「自己満足」と紙一重ですが、それが名演奏家の演奏方法と一致していれば正解と言えます。
教える側としても「ここが悪い」「あそこがダメ」と分析・列挙するのは最低の指導法です。「こうしたらうまく弾ける」と弾いてもらい、うまく弾けている感じを体験してもらい、その感じでいつでも弾けるように練習してきてもらうようにと考えています※。
真面目にカリキュラムをこなしても、まして弾けない理由を探っても上手くはなりません。水泳だったら「泳げた時の感じ」、スキーなら「滑れた時の感じ」を覚える方が早くできるようになるでしょう。結果がよければ、別に文献と一致させる必要も過度にこだわる必要もないのです。
ヴァイオリンはイタリアの楽器です。ぜひとも、真面目過ぎず、分析的になり過ぎず、取り組んで頂ければと思います。
※必ずしも「丁寧な説明・解説」が良いわけではありません。わたしの場合、「良い音を頭の中につくって」とだけ言う時もあれば、「弓をゴンと置いて、ガーっと弾いて」とか「重いものを持って弓のように動かして」と言う場合もあります。また、一緒に弾くことも、交互に弾くこともあります。いずれも、「良い音で弾いている時の感じ」を体験してもらうためのもので、それこそがレッスンの価値と考えています。
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