教え過ぎてはいけない - 教える側の気持ち



レッスンでは教え過ぎてはいけません。教え過ぎるのはむしろ有害です。

教わる側からすれば、たくさん教えてもらった方が良いような気がするかと思います。まして、有料のレッスンではたくさん教えてもらった方がお得な気にもなります。わたしだって、出し惜しみするわけでもありません。

ですが、わたしのレッスンにお越しになる方の中には、教えられ過ぎてうまく弾けなくなってしまっている方も多くいらっしゃいます。 事細かに、演奏の技術を「指導」されている場合で、その「指導」がむしろ悪影響になっている場合です。

例えば、「正しい歩き方」と称して全ての動きを「指導」されたら、歩けなくなってしまうのはおわかりでしょうか。まして、言葉で説明されても全く歩けるようにはならないでしょう。正しい歩幅は35cmで、正しい足の角度は23度で・・・、というのは言っていることは正しくても無意味なことです。

教える側の気持ちとしては、あれも言いたい、これも言いたい、という気持ちがあります。これはむしろ良心から来るもので、教える責任を考えても、あれもこれも伝えたいという思いがあります。ですが、教える側がそれを我慢しないと、教わる側は上達しません。

大まかな方向性、要求、やり方を伝え、まずは自分で工夫するようにしないといけない。それでうまくいかない時に手を貸すようにしないと絶対に成長しません。教わる側が自分で気がついていない部分だけを指摘すること、概ねうまくいっている部分は教える側のやり方と違っても口を出さないこと※。

「教育」を論じるほど経験も知識もありませんが、今のところわたしはこのように考えています。

※言葉で言うのは簡単ですが、「教え過ぎない」ようにするのは本当に難しいことです。10年ほど前にやっていたレッスンでは明らかに「教え過ぎて」いたし、今でも時々教え過ぎたと思うことがあります。「教え過ぎない」ためには、よほど生徒を信用しないとできないし、時には完全に任せてしまうことも、時には突き放すことも必要です。

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