力を抜きなさいとレッスンで指導されることは多いかと思います。ともすれば力を抜けば何でも解決するような風潮すらあります。ですが、「力を抜く」のがどういうことかよく分からない事も多いかと思います。
どんな感じか無理に表現してみると、酔っぱらってふにゃふにゃしているような感じ、疲れ切って元気が出ないような感じ、熱が出てふらふらしているような感じ、でしょうか。腕や身体を持ち上げているわけなので、力はかかっています。ですが、その加減が「一生懸命」のレベルから一歩弱い加減にあると言えましょうか。
腕の重さ、身体の重さが感じられる状態が、力が抜けている状態と言えます。腕を強く持ち上げているときも、だらっと下げているときも腕の重さはあまり感じないかと思います。ですが、手のひらを握りもせず開きもせずで腕を横に伸ばすと、腕の重さを感じられるのではないでしょうか?わたしは、この感じがヴァイオリンを弾くときの感じに近いと思います。
この感じでヴァイオリンを弾くと手応えをほとんど感じなくなります。意図的に弓を弦から浮かすわけでもないし、押しつけるわけでもない。弾くときには手応えが無いと弾いた気にならない気持ちはわかりますが、それは誤りです。最終的には、手応えが無くなって無意識になるべきです。
自動車をむやみにエンジンの回転を上げて走っても速く走ることはできません。だからと言って、アクセルを充分に踏まなければ走ること自体できません。多くの場合、一生懸命弾き過ぎの場合が多いようで、そこまで弓は速くなくて良いし、圧力も強くなくて良いというケースが多いようです※。
力を抜くと言うのは一生懸命とは対極にあります。一生懸命でなく、アクセルを踏みすぎずと考えて弾いてみると感覚がつかめるかもしれません。
※ただし楽器の調整が悪かったり、楽器・弓自体が良くない場合は、無理しないと弾けない場合が出てきます。壊れかけた車ではスムーズに走るのは難しいようなものです。
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