ヴァイオリンで演奏する曲は他人との合奏が少なくありません。オーケストラ曲のように他のヴァイオリン奏者と合わせる場合もあるし、ソロ曲でも多くはピアノなどの伴奏が付きます。その意味で、ヴァイオリンは社会性が必要な楽器と言っても良いでしょう。
ですが、ヴァイオリンを弾く人は気が強かったり、自分が一番でなければ気が済まない性格だったりする場合が少なからずあります。ヴァイオリン教育がそういう性格を生むのか、そういう性格の人が上達するのか不明ですが、かなりの割合で見られます(私にもそう言う面はあります)。
「なんであんたなんかに合わせないといけないのよ」「おれについて来い」などと思ったことはありませんか?合奏の時は意識的に社会に溶け込む努力が必要です。
合奏の極意があります。わたしもある先生に教えてもらったことです。「完璧に他人と合っているときは自分の音は聞こえないもの」というものです。
懸命さをアピールしようと、存在感を示そうと、音量を出すのが良いことと思って、つい大きな音や高い音程で弾いてしまう場合があります。ですが、これは合奏を乱すだけの行為です。まして合奏で大きな音を出そうとエヴァ・ピラッツィを張ってみたり、存在感のある音のヴァイオリンを選んだりというのは、とんでもない勘違いです※1。
淡々と自分の仕事を必要なだけ正確にこなす。出過ぎず、引っ込み過ぎず、みんなと足並みを揃える。自分の存在感がなくなる方が良い仕事が出来ている。なんともわびしいですが、合奏の練習の時は意識してみてはいかがでしょうか?ストレス発散とは違う気持ちよさが得られるかもしれませんよ※2。その上で気持ちよく表現できれば最高です。
合奏の練習の参考になれば幸いです。
※1 ただ本当に良い楽器は特に低音側の倍音が多いためか、音量があっても合奏で溶け合うし、他人との音程も合いやすくなります。やかましいだけの音を求めるべきではないという意味です。
※2 アマオケなどでは「やる気がない。けしからん」と言われてしまうかもしれません。会社などと同じく、猪突猛進型の人が評価されがちなので難しいところです。コンマスや指導側の意識も重要です。
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