ある程度ヴァイオリンを弾いている方なら、多くの方が「いつまで経っても良い音が出ない」「練習を続けてもうまく弾けない」とヴァイオリンを弾くのが嫌になってしまった経験があるかと思います。わたし自身もこれまで何度も嫌になってしまったことがあるし、時間とお金を浪費しているように思えたことも数多くありました。
子供の頃からヴァイオリンをやっていたからと言って、うまく弾けるわけでも、嫌にならずに済むわけでもありません。むしろ、わたし自身は、毎日練習するのが嫌で仕方なかったし、弾けないと先生に怒られるし、弾けるようになるほど壁を乗り越えるのが難しくなります。嫌になるのは、子供から始めていても大人から始めていても同じことと思います。
「練習すればうまく弾けるようになる」と考えているとそのうち壁に当たります。いくら時間をかけて音階を練習しても、練習曲を弾いても壁は乗り越えられるわけではありません。根性や努力で良い音が出るわけではありません。壁を乗り越えるためには「どうしたら良い音が出るようになるか」「どうしたら効率よく音になるか」と考えると解決に結びつきます。
ヴァイオリンほど自分の動作に敏感な楽器はありません※1。ピアノやギターとは違い、自分の動作全部が音になります。そこが難しさであり、面白さです。適切な加減で弾けば経験年数に関係なく良い音が出るし、同じ動作をすればほぼ100%の再現性もあります。逆に言うと、楽器を正しく振動させていなければ、どんなに練習しても良い音は出ないと言うことになります。
嫌になったときは無理に弾き続けない方が良いと思います※2。一日休んで楽器を効率よく振動させているか、効率よく弾けているかを考えてみて下さい。弓を使う幅は?左指の置き方は?自分のやっていることは理にかなっていますか?ここを確認すると、ヴァイオリンは良い音で応えてくれるはずです。
※1 わたし自身は他の楽器(ギター、エレキベース、ドラムス、シンセサイザー、ホルンなど)もそれなり弾きますが、自分の動作がダイレクトに音になる感じはヴァイオリンが一番で次は管楽器と思います。
※2 わたし自身も、どうしても嫌なときは最小限のボーイング練習と簡単な音階練習だけで済ませることもあります。ただし、自分を甘やかすと自分がつけあがりますので、翌日はきちんと練習するようにしています。
←前の記事「真面目過ぎは下手になる-レイトとアーリー4」を読む
→次の記事「経験年数と良い音-レイトとアーリー6」を読む
→ 一覧ページに戻る → トップページに戻る
|