ヤマハからサイレント・ヴァイオリンが販売されています。また、ヤマハ以外からもエレクトリック・ヴァイオリンや練習用ヴァイオリンが発売されています。これらを見て、「最初は下手だし※お隣も気になるのでサイレント楽器を購入しよう」と考える方もいらっしゃると思います。
特にヤマハのサイレント・ヴァイオリンはよく研究されていると思います。初めての方でも音が出しやすくできているし、ネックなどの加減も、重量バランスも、初めての方に配慮した思想を感じます。独立した楽器としては、悪くない製品と思います。
ただ、サイレント・ヴァイオリンがアコースティック・ヴァイオリン(いわゆる通常のヴァイオリン)の代わりになるか、サイレントで練習すればアコースティック・ヴァイオリンが弾けるようになるか、となると問題があります。
ヴァイオリンの難しさは主に音色と音程(音の高さ)にあり、特に音色が難しい。音程はサイレントでもある程度練習になりますが、音色を作る感触はサイレントとアコースティックで相当に差があります。弦と弓のタッチ、発音の感触、圧力の加減など、アコースティックの方がサイレントより敏感に音に影響が出るため、難易度が大きく違います。
前述の通り、独立した楽器としては多くの可能性を持っていると思いますが、アコースティックを弾く目的があれば、最初から同じ価格帯のアコースティックの方が良いと思います。音量の問題も、アコースティック・ヴァイオリンに消音器を付ければ済むことです。
サイレントを否定するわけではありません。ですが、エレキ・ギターとアコースティック・ギターのような差がサイレント・ヴァイオリンとアコースティック・ヴァイオリンにあることはお示ししておきたいと思います。
※手前みそで恐縮ですが、音色もわたしのレッスンにお出での大人の方を見る限り、初めての方でも1ヶ月で充分いい音を出せています。ギコギコ言うのは初心者だからではなく、メソッドが何らかの点でおかしいためとわたしは思います。
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