ヴァイオリンの個人指導の世界には、今もなお古い風習が残っています。今回はレッスン料を先生にお渡しする際の習慣についてお話しします。
大手楽器店の教室と異なり、個人指導の場合は「月謝袋」が用意されていない場合も少なくありません。お金に関して頓着しない素振りが好ましいといった美意識があるためか、先生の側でお金に関する用意を行わない事が多いのです。
レッスン料を渡す際に、現金を直接渡すのは失礼にあたります。封筒(通常、簡素な普通の封筒で良いと思います)に現金を入れて渡すものとされています。できればお札も新券で、おつりは出ないように、小銭を寄せ集めたりするのは論外とされています。
つまり、祝儀袋が普通の封筒に代わるだけで、結婚式のご祝儀と同じような感覚です。そういった習慣の合理性や是非はともかく※、レッスンを受ける際の常識として知っておくと良いと思います。
お渡しするタイミングは、ワンレッスン形式の場合は毎回のレッスンの後に、月謝の場合は月の初めか終わりのレッスンの後にお渡しするのが、ヴァイオリンの世界では普通です。丁寧に「ありがとうございました」と言ってお渡しします。まともな先生でしたら、先生も感謝の言葉を言ってくださると思います。
こういった慣習は近年失われつつあるものですが、お稽古事の常識とされているものです。心に留めておくと、レッスンを受ける際に役に立つかもしれません。参考になれば幸いです。
※私自身が指導者だったときは、現金のままで頂いても、銀行振り込みで頂いても構わないと考えていました。今みたいに手数料無料のネット銀行があったのなら、振り込みを推奨したかもしれません。指導者とは言えど、個人事業者です。振り込みの方が、納税用の帳簿をつけるのに楽なのです。
なお、印象の良し悪しで言えば、どんなに形式的に気を遣われるよりも、多くを学ぼうとする・上達しようとする生徒の方が、指導者にとっては好印象です。演奏の上手な生徒、上達が見られる生徒を先生は可愛がるものです。
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