8年ほど使用していたオーディオアンプがノイズを発するようになってきたため、買い換えを検討していました。ヨドバシカメラなどでいろんな機種を試聴している中で気に入ったのが真空管アンプの音です。
「今どき、真空管!?」と思われるかもしれません。「真空管って何?」という方も多いでしょう。
真空管(左:ロシア製です)。右は普通の60W電球。
わたしはオーディオに詳しくありません※ので真空管アンプの一般的な評価はよくわかりません。でも、聴き比べると普通のトランジスタアンプに比べ、真空管アンプはどの機種も音の密度が高く、しっかりと空気を震わせている印象を持ちました。すなわち楽器そのものの音に思えたのが好印象だったので、買い換えるなら真空管アンプをと感じていました。
真空管アンプは全体に高額で、多くは10万円〜で、試しに買ってみるには少々高い。そこで、いろんなお店を物色していたら出物があったので買ってみました。
エレキット TU-883LEという製品の完成品
これは本来、パーツで売っていて自分で組み立てるものですが、既に組み上がっているものを中古で入手することができました(真空管は購入時点で交換されていました)。
それほど良いオーディオ機器を使っていませんが(スピーカーにBOSE AM-5IIIというもの、CDプレーヤーはLDプレーヤで兼用)、つなぎ変えて聴いてみると、これまでのプラスティックのような音から、一転して色気のある音になりました。音に命が宿る感じ。ヴァイオリンの弦をナイロン弦からガット弦にしたような感じ。アンプだけでこんなに変わるものなのかと、少なからず驚きました。
言われるような柔らかい音ではありません。むしろはっきりした音で、雑音と楽音が一緒くたに出てくるのではなく、楽音成分が明瞭に聞こえ、ヴァイオリンはよりヴァイオリンらしく、ピアノはよりピアノらしく聞こえます。自分にとってはヴァイオリンの音は生音の方が身近ですが、生音に近い音の力と存在感を感じます。
また、クライスラーやティボー、さらにはサラサーテ、イザイと言った雑音だらけの大昔の録音でも、雑音はそれほど目立たなく聴くことができます。「酔っぱらって弾いている」とまで言われるティボーの演奏も名演奏になるし、エルマン・トーンの意味もわかります。
真空管アンプは出力が小さい(8W+8W)割に、電気をたくさん消費(80W)します。電源を入れると相当に発熱します。
電源を入れるとこのように真空管が光ります。熱いです。
浪費型のためなのか、小さい音量でも音に充分力があり苦にならないし、ボリュームを上げればオーケストラのCDだってかなりの大迫力で聴くことができます。
なぜそうなるのかよく分かりません。この機種が良いものなのか分からないし、真空管アンプ一般にそうなるかもわかりません。でも、面白い体験をしたということで、ここでご報告しておきたいと思います。
→エレキットのサイト
→ほぼ同等品(楽天 TU-872S TU-883LEとは若干仕様が違います)
※非常に高価なオーディオ機器を愛好家の方に聴かせて頂いたことはあって、「こんなに生と同じ音が聞けるのか」と思った経験はありますが、全然詳しくはありません。
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