ピチカート(弓で弦を擦るのではなく、指で弦をはじく弾き方。ピッツィカートとも)で良い音を出せないケースは少なからずあります。「ペしゃ」などといった音がする場合です。良い音を出すためにはいくつかポイントがあります。
楽器全般に言えることですが、楽器の構造に沿った弾き方をすることではじめて良い音が出せるものです。また、はじく場所やはじく材質(ヴァイオリンのピチカートの場合は指)でも音色は変わります。
ヴァイオリンの構造上、弦を横(表板に対して平行)に振動させると楽器の胴体が振動します※1。より大きく楽器を振動させるためには、ボウイングと同じで、手先・指先で弾くより体の中の方からエネルギーを与えようとすると、また、音を出す前に弦に置いて力をかけてから音を出す方が響きます。駒の近くではじくと硬質な音、駒から離して弦の中央に近づくにつれ軟質な音になります。はじく材質も硬い材料と柔らかい材質で音色が変化します。
オーケストラなどアンサンブルでのピチカートの場合、響きが多く、柔らかい音を求められることが多いかと思います。
すると
・指の爪ではなく、肉の柔らかい部分を弦に当てる(爪が当たるとカシャっというノイズが入る)。
・音を出す前に弦に指を引っ掛ける
・指先だけで弾くのではなく上腕や背中など身体の中の方から力をかけようとする
・弦は横(やや右斜め上に指を動かすイメージになります)に振動させようとする※2
と言う点を意識するとこれだけでもある程度豊かな音が出せるかと思います。ご参考にして頂ければ幸いです。
指を立てすぎると爪が弦に当たってノイズを出します
指をあまり立てすぎず、指の肉が当たるようにした方が柔らかい音が出ます
通常は指板の上の弦をはじきます(弓で擦る場所ではなく)
※1 ヴァイオリン属の弦楽器は魂柱の存在が最大の特徴で、かつ左右が非対称です。ギターの場合は構造が異なり、魂柱がなく概ね左右対称に力木が入っていることから弦を縦(表板に対して垂直)に振動させることで表板が振動します。
※2 やや特殊なテクニックで、エレキベースのスラップ奏法と同様、弦を上に引っ張って指板に当たる音を出すバルトークピチカートというテクニックもありますが、通常は指板には当てません。