自分の表現は録音しながら-曲を練習する方法10


他のヴァイオリニストの演奏を充分に研究したら、自分なりの表現をつくります。言わば、音楽の「企画」や「設計」をする段階にあたり、とても楽しい作業です。楽譜に表現のイメージや表現を書き込むなどして、「設計書」をつくっていくと良いかと思います。

楽しい作業なのですが、自分では美しい音楽のつもりであっても、他人の耳からしてみれば美しい音楽に聴こえない場合があります。 むしろ、変な抑揚がついて、奇異な音楽に感じることの方が多いように思えます。

「素人は表情をつけようとせず、楽譜のまま弾いた方が良い」と、とある指揮者が言うのを聞いたこともあります。ひどい言い方ですが、確かに"言い得て妙"で納得できる面はあります。ヴァイオリンの場合は特に、自分で弾きながら聴く音楽と、他人が聴く音楽は差が大きいのです。

そのギャップを埋めるためには、録音をするのが近道です。携帯電話の録音機能でもかまいません。録音をする習慣がなければ、今すぐにでも自分の演奏を録音してみてください。自分なりの表現を自分で弾いて、録音して、確認しながら、表現を作っていくのが良い結果になるはずです。

表現をつくるには「他人の演奏を聴く」「自分の演奏を客観的に聴く」の両面が必要でしょう。表現をつくることは、自己評価することでもあります。ぜひ、たくさんの演奏を聴いて、自分の表現と比較しながら、よい音楽をつくっていってください。

うまく弾くための参考になれば幸いです。
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