初級のレッスンの方がはるかに難しい - 教える側の気持ち



初級者、中級者、上級者とランク分けをしている音楽教室はよくあります。上級者向けほどレッスン料が高くなるため、上級者向けレッスンは教えるのが難しく、初級者向けのレッスンは教えるのが簡単と思う方もいらっしゃるようです。

とんでもありません。初級者向けのレッスンの方が圧倒的に難しい。わたし自身は主要なコンチェルトのレッスンやストラディヴァリなど名器の鳴らし方など、ハイエンドのお話もできる自負はあります。ですが、それよりも、弓の持ち方、動かし方、楽器の構え方、指の押さえ方、そして姿勢と言った最もベーシックな話の方がはるかに難しいし、奥が深いものです※。

学校で足し算の概念を教えるのが難しいようなものです。1+1=2をきちんと説明するのは相当に困難かと思います。でも、この概念をきちんと伝えないと大前提が崩れてしまう。

「基本・基礎が大切」と安易に言われますが、音階やセブシックが基礎と勘違いしてはいけません。弓の持ち方、楽器の構え方などが基礎であり、音階やセブシックはパターン練習です。基礎をきちんと押さえておけば、あとは生徒自身でパターン練習や曲を自分で進めていくことができるはずです。

教えるのは、生徒の横で一緒に歩くことではありません。生徒が自分で歩けるようにすることです。最初の一歩が、その後を決めるからこそ、初級者向けのレッスンは難しいし、反面やりがいがあります。

※これらはかなり弾ける方に対しても、指摘しなければならないことが多々あります。初級、上級と言った区分け自体が本来意味のないものかもしれません。まして、金額が違うのはわたしには理解できません。

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