安価なカーボン弓で大丈夫?



近年はカーボン弓が多く販売されています。幅広い価格帯で、さまざまなコンセプトの製品が販売され、中には「トルテやペカットを超えた」というような喧伝すらされています。頻繁に広告掲載されているため関心を持つ方も多いかと思います。

トルテやペカットを超えたというのは誇大広告と思います。トルテやペカットをはじめとする名弓は本当にいい音がするし、自由自在に弾けるという感覚がありますが、その性能にカーボン弓は追いついてすらいないとわたしは感じます。妙に期待を煽ったり、名品をおとしめるような広告は品が悪いと思います。

ただ、数万円以下の価格帯で比較すると木製の弓よりカーボンの弓の方が弾きやすいと思うことがよくあります。木材の質や作りのためか、安価な木製弓よりはカーボン弓の方が良い弓に近い感触を持っている場合が多く見られます。

カーボンだからといって、使っていくうちに痛んでくることもないみたいです。わたしは10年以上カーボン弓も使っていますが※、特に変質した印象はないし、音も特に変化は感じません。普通に毛替えをして、普通に巻き皮の交換をしてと、木の弓と同じ使い方ができています。

カーボン弓の方が優れているとは思いません。重量バランスが木の弓と極端に異なるカーボン弓にはわたしは否定的ですし、高額なカーボン弓の存在意義がわからない時もあります。わたしの持っているカーボン弓も持っている木製弓に比べれば性能も音色も良くありません。

ですが、誰もが趣味に大きなお金をかけられるわけではないと思います。価格の割にと割り切って考えるのであれば安価なカーボン弓は充分コストパフォーマンスが高いと言えます。

※スピッカート社(現ジョン・ポールボウ社)のアルペジョを使っています。音色を問わない練習(消音器を付けて楽譜を追っていくような練習の場合)に主に使用しています。

←Back Next→

始め方がわかる
トップ

(C)Caprice