指弓は最小限に - ヴァイオリンの技術を考える



指弓(「ゆびゆみ」と言います)というのは、右手の手首・指先を使ってしなやかに弓を動かす技術のことです。指弓ができると軽々と弾いている雰囲気になり、見た目のかっこよさが出てきます。

指弓のメリットは、弓の返し(上げ弓から下げ弓、あるいは下げ弓から上げ弓といった運弓の折り返し)がスムーズに出来るところにあると言われます。ですが、そのメリットの反面、ヴァイオリンを充分に鳴らせなかったり、発音が不明瞭になりがちになるデメリットもあります。

指弓は無批判・無神経に使うべきではないとわたしは思います。特に、発音の問題は致命的で、指弓の使用に起因する問題を解決するために複雑な動作を同時に行うよりは、むしろ指弓を使用しない方がすっきり解決する場合が多いと思います。

結局、指弓は使わないか、使うとしても最小限にした方が良いようです※1。これまで指弓を多用していたのであれば、弓を力を入れずに持ちつつ、指先や手首はブラブラせず少しだけしっかりさせると、音の立ち上がりが断然明瞭になるはずです※2。

発音が曖昧になっていたり、発音が遅れがちになっている場合は、お試しになってみて下さい。

※1 完全に指弓を否定するわけではないし、出来ないよりは出来た方が良いとは思います。

※2 アイザック・スターンの演奏を見ると、手首から先が少ししっかりという意味がわかるかと思います。

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