持ち方・構え方2 - ヴァイオリンの技術を考える



楽器(ヴァイオリン)を高く持ちなさい」「楽器が下がる!」というのは、レッスンなどで頻繁に聞かれる言葉ではないでしょうか?あご当て側の高さに対して、スクロール側が低くなってしまう場合によく言われることです。

ヴァイオリンを低く持ってしまう原因については、前回少しお話ししました。ですが、どのくらいの高さが適切なのでしょうか?レッスンでも「高く持て」とは言われますが、「どの程度」かはあまり教えてもらえないようです。

名ヴァイオリニストの写真をまず見てみましょう。ヤッシャ・ハイフェッツは高くヴァイオリンを持ちますが、ギドン・クレーメルは低く持ち、いずれも一般的には特殊な奏法です。こういった方々が特殊な奏法をしているのを「天才だから」と片付ける人もいます。ですが、ダヴィド・オイストラフはほぼ水平で、極めてオーソドックスな弾き方です。

一般的にはヴァイオリンが床と平行になる程度が適切と言われますが、「正しい高さ」を求めることにはあまり意味は無いと思います。必要なのは「良い音が出ること」「求める音が出ること」です。そのためには、「正しい高さ」で固定するべきではなく、ある程度自由であるべきです。

例を挙げましょう。通常、「弓から弦へ圧力をかける」という意識が強いかと思いますが、同じ程度に「楽器から弓に対して圧力をかける」と考えてはいかがでしょう?「豊かなフォルテを音を出したいのに、音がつぶれる」といった問題はこれで解決することがあります。そして、楽器から弓へ圧力をかけようとすれば、ヴァイオリンは幾分高めになるはずです。

「正しい高さ」というものは無いとわたしは思います。ですが、「良い音の出る高さ」「求める音の出る高さ」はあるようです。ぜひ「正しい高さ」ではなく「良い音の出る高さ」を追求してみてはいかがでしょうか?

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