姿勢・立ち方 - ヴァイオリンの技術を考える



ヴァイオリンのレッスンを受けると、弾くときの姿勢についてよく注意されます。姿勢に関しても流儀がいくつかあり、足の開き方だけをとっても、前後に開く流儀、平行に開く流儀などがあります。 姿勢に関しても原理・原則よりもスタイルを重視される傾向があるようです。実際のところどの流儀でも筋が通る面もあるし、どの流儀でなければならないというものでもありません。

姿勢は、次の点を満たす必要があると言えます。
・上半身の動きを支えられること
・ ショーとして見栄えがすること

ヴァイオリンを弾く時には上半身はかなり大きな動きをします。特に右手は手の長さいっぱいに伸ばしたり縮めたりするため、この動きを支えられる姿勢である必要があります。つまり、上半身がどれだけ動いても、しっかりと立っていられる姿勢が正しい姿勢となります。

また、動きを支える必要と同時に、姿勢は音色にも影響します。腕や身体のエネルギーを効率よく音するには、必要なところに力が集中できた方が望ましいのです。

案外忘れがちですが、ヴァイオリン演奏はショーです。五木ひろしショーなどのショーです。燕尾服やドレスを着る理由と同じで、観客にとって美しい格好であることが求められます。立ち方、所作も含めて、美しい(別の言い方をするなら、見せ物としてふさわしい)立ち方・歩き方・弾き方が必要です※1。

背筋を伸ばすとか、足を広げるというのは、機能的な面と外観上の面の両方があります。足は広げすぎず、閉じすぎず、安定するように。背筋は曲げすぎず、反らせすぎず。電車の中でつり革を持たないでも立っていられるような姿勢が、安定する姿勢のはずです※2。安定の上で、美しく見えるように。そのことを普段から意識しておくと、正しい姿勢で弾けるようになるはずです。

正しい姿勢で弾く参考になれば幸いです。

※1 最近はずいぶん自由になっているようですが、ステージではみっともない格好をするもんじゃないです。昔はうるさく言われたものですが。

※2 膝を曲げた方が安定するように思えますが、電車に乗ると分かるように後ろへ倒れる力に対して脆弱です。また美しくありませんね。わたしは頭の中心から両足の土踏まずの中心までがほぼ直線上になるのが理想と思っています。
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