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ニセモノ作りの名人の本:THE VOLLER BROTHERS

ヴァイオリンの世界にはダークな面があります。ニセモノの存在はその一つです。オールド楽器だけでなく、モダン楽器や新作楽器までニセモノが存在していますし、弓にも鑑定書にもニセモノがあります。ニセモノをレプリカと言えば聞こえは良いのですが、意図的・非意図的によらず、ニセモノがホンモノとして取引されるなど真贋にまつわるトラブルは少なくありません。

オールドイタリーのニセモノ作りの名人としては、19世紀に活躍したフランスの製作家のJ.B.ヴィヨームがよく知られています。でも、少なくともわたしの見たことのあるヴィヨームで「これはホンモノに見える!」と言うほどのものは出会ったことがありません(もちろんそういう楽器もあるのかもしれません)。

ところが、これはだまされるかも思う楽器を見たことがあります。その代表格が19世紀終わりから20世紀初頭のイギリスの製作家ヴォラー兄弟(Voller brothers)の楽器です。ヴォラー兄弟の楽器はホンモノのオールドイタリーとして扱われてきた楽器もありますし、わたしの触ったことのある楽器はグァルネリ・デル・ジェスのコピーでしたが、見た目も音もかなり雰囲気のある楽器でした。

そういう危なげな製作家ということもあり専門書が発行されています。「THE VOLLER BROTHERS」というそのままのタイトルの本です。

ヴォラー兄弟が製作したストラディヴァリ、グァルネリ、テストーレ、ガリアーノなどオールドイタリーのレプリカが22挺掲載され、いくつかの楽器はそのコピー元などが示されています。更に紫外線写真などホンモノとの違いまで記述されています。

コピー元は明確ではないけれども、似たストラディヴァリとの比較写真です

ホンモノとの紫外線写真での比較です。ホンモノは紫外線を当てると
オリジナルニスがオレンジ色のような特有の色を発します。

「ヴォラー兄弟の楽器がどうか」、と言うことはともかくとして、ホンモノとして取引されるニセモノが存在するのは「価値は楽器としての性能よりも名称に付く」という事になるでしょう。実際、ここ最近、年輪年代法(年輪の幅で材木の年代を知る技術)でこれまでホンモノとされてきた楽器がニセモノと判断されたケースも多く現れています。もちろんホンモノを知らなければニセモノを判断できないのですが、そのホンモノとされる楽器すら本当にホンモノなのか危ういのがヴァイオリンの世界ではあります※。

この書籍を詳しく読み込むことは多くの方にとっては無意味なことかもしれません。でも、こういったニセモノについての書籍が存在することが、真贋についてや骨董品としてのヴァイオリンとのつきあい方を学ぶ手がかりになればと思います。

※その意味で、コンサートのパンフレットなどによく記載されている「使用楽器はアントニオ・ストラディヴァリ」などといった使用楽器の表記はそれがビッグネームであるほど危ういものとわたしは思います。わたしはその楽器の名前を聴くよりも、楽器を含めた「その人の演奏」「その人が作り出す世界」を聴きたいと思います。

 

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