そこそこに弾けるようになってくると、速いパッセージを弾く技術だけがヴァイオリンの技能と勘違いすることが少なくありません。ヴァイオリンを上手に弾くというのは、「速いパッセージを間違えずに弾ける」という能力だけではありません。
どれだけ弾けるようになっても、時々、立ち止まって、自分のやっていることを見つめ直すことは、必要なことではないかと思います。そんな時に、多くのヒントを与えてくれる書籍をまず1冊ご紹介します。
奏法の哲学 鈴木鎮一 全音楽譜出版社
鈴木鎮一氏はスズキメソード(才能教育)の創始者として有名な人です。スズキメソードは演奏方法の古さ、読譜の問題など批判の対象になることも少なくありませんが、世界のヴァイオリン教育の中で重要なもののひとつであることは間違いないでしょう。
本質的にスズキメソードはヴァイオリニスト養成の教育ではないのですが、この本を読むと、音色や発音などつい忘れがちな、しかし重要な演奏のポイントが数多く記されていることが分かります。
この本は1960年に出版された本の復刻版ですが、現代でも充分に通用します。弾ける人ほど読んで欲しいし、教える人なら必ず読むべきでしょう。
わたしはスズキメソードに与するわけではありませんが、鈴木鎮一氏の演奏哲学には、大変共感します。演奏や指導に悩むときにはぜひ手にとって頂きたい本です。
※表紙写真は、全音楽譜出版社より転載許諾済み
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→奏法の哲学 鈴木鎮一