ヴァイオリンを弾く経験のある方であればご存じであろうヴァイオリン名曲です。今回でこのシリーズは最後になりますが、今回は次の7曲を取り上げます。
・ヴィヴァルディイ短調協奏曲
・ヘンデル ヴァイオリンソナタ
・ヴィタリ シャコンヌ
・シベリウス ヴァイオリン協奏曲
・ラヴェル ツィガーヌ
・パガニーニ 24のカプリース
・イザイ 無伴奏ソナタ
引き続き曲自体についてはウィキペディアにも詳しい情報がありますので、簡単に留めました。また、該当CDのAmazonへのリンクを張りました(広告リンク付きですが、収益よりも著作権問題の回避が主な目的です。ご了承下さい)。一部には試聴できるものもありますが、PCでは視聴できてもiOSでは動作しないようです。その点にもご容赦下さい。
また、海外から取り寄せのステータスになっているものもありその点にもご注意下さい。Amazonへリンクを張っていますが、HMVやタワーレコード、あるいは中古でディスクユニオンやブックオフ、ヤフオクのサイトに見つかるかもしれません(実際、ユリア・フィッシャーのパガニーニはHMVで在庫が見つかりました)。お手間ですが入手困難なものをお求めの際は多方面からご検討下さい。
一般的にはほとんど知られていないと思うのですが、ヴァイオリン弾きの間では大変に有名な曲です(「調和の霊感」作品3の6番という名前の曲です)。各種教本に課題として掲載されていて初めてのちゃんとした「ヴァイオリン協奏曲」がこの曲だった方も多いだろうと思います。
鈴木の教本にはCDが付属していますが、少し違う演奏をご紹介したいと思います。イタリア合奏団によるものでとても軽やかな演奏です。「この曲はこう弾くものなのか!」とわたしは最初に聞いた時にとても驚かされました。
とても多くの教室で課題になる曲のはずです。これから取り組む方はもちろん、既に通り過ぎた方も違った観点から改めて取り組んでみて頂きたいと思います。
→「イタリア合奏団のヴィヴァルディ調和の霊感」Amazonではこちら(試聴あります)
一般的にはそれほど知られていない曲と思いますが、こちらも教本に掲載されているためヴァイオリニストの間では大変に有名な曲です。特に3番4番は定番中の定番で子供の頃に習ったという方も多いでしょう。
グリュミオーの演奏があります。品良く美しい音はお手本になり得るはずです。うちのレッスンでもしばしば取り上げる曲ですが、今回改めて聴いてみたところ、やはり良い曲・良い演奏だなあと思わされました。
これも多くの教室で課題になる曲でしょう。音楽としても素敵なものと思いますし、リズムの訓練、ボウイング・フィンガリングともに一段高度なものにする上で大いに有用です。ぜひ取り組んでみて頂きたいですし、改めて取り組み直す価値のある曲と思います。
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ヴァイオリンを習う方がこなすべき小品があります。コレルリ「ラ・フォリア」、クライスラー「プレリュードとアレグロ」、そしてこのヴィタリの「シャコンヌ」はその代表格となる曲でしょう。それぞれ各種ボウイングのテクニックが出てきて練習曲としてよく使われるためでしょう。ここではヴィタリのシャコンヌを取り上げたいと思います。
お手本になるかどうかはともかくハイフェッツの演奏が強烈です。オルガン伴奏が独特の雰囲気を醸し出していますが、オルガンの存在を忘れさせるような強力な印象の演奏です。これほどハイテンションで感動的な演奏は他に無いと思いますし、作曲家の力よりも名演奏家の力によって永遠の名曲になった例ではないかと思います。
ほぼ全ての教室で課題になる曲ではないでしょうか。多様なボウイングのテクニックが出てきますし、短音・重音ともにヴィブラートをうまく使う練習にもなり得ます。ぜひ取り組んでみて欲しい曲と思います。
「メンコン」「チャイコン」ほど有名ではありませんがヴァイオリンに関心の強い方の間では有名な曲ですし、弾きたい曲として挙げられることも多いように思えます。特に1楽章はフィンランドの冷たい空気、白夜、吹雪が見えるような曲です。
大変多くの演奏家が録音に残しています。その中で入手困難のもので申し訳ありませんが、あえてこの盤をお勧めしたいと思います。ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送交響楽団のオイストラフ盤(1965年録音)で、これはシベリウスを演奏する方にはぜひ聴いて頂きたい演奏です。4種類あるオイストラフ演奏のシベリウス最後の録音で、演奏の完成度の高さはもちろん録音の都合なのかこの盤独特の硬質な音色がシベリウスの世界にとても似合っていると感じます。
レッスンで取り上げられる事も少なくないと思います。相当に難易度は高いのですが、シベリウスはヴァイオリンの名手だったためかベートーヴェンのような変な弾きにくさはありません。取り組む価値の高い曲と思います。
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入手困難なもので申し訳ありません。でもこの1965年盤をお勧めしたいと思います。
その名の通り晩年のラヴェルによる「ツィゴイネルワイゼン」と言える曲です。前半がゆったりのラッサン、後半がアップテンポなフリスカで構成されるのは「ツィゴイネルワイゼン」と同じですが、ピカソやブラックのようなキュビズムの絵画を感じさせる全然違う趣があります。
フランクのソナタでご紹介したデュメイ&ピリスの盤にフランクと一緒に入っている演奏も素敵ですが、ここではハイフェッツの演奏をご紹介したいと思います。ハイフェッツが71歳の時に行ったラストコンサートで弾いたツィガーヌの録音が、他の演奏に無い「進行する狂気」を感じさせます。ハイフェッツ並みやハイフェッツ以上に「上手いヴァイオリニスト」は数多いのですが、音楽の持つ狂気を感じさせる演奏は未だに滅多に無いものです。
リズムがややこしいですし音の並びも現代的で新しい感覚が得られるかと思います。1/4拍子なんて滅多に見ないかとも思います。左手のピチカートやフラジオレットの使い方も面白いですし、他の曲に無い響きがあります。難易度はかなり高めですがぜひ取り組んで頂きたいと思います。
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ハイフェッツのラストリサイタルの録音です。71歳とはちょっと思えません。
ヴァイオリンを弾く人にはとても有名な曲で、各種コンクールや試験では定番の課題曲です。特に24番は有名で、ブラームスやリスト、ラフマニノフをはじめ多くの作曲家がこのテーマを用いて新たな作品を作っています。音楽史上も最も広く影響を及ぼしたテーマの一つではないかと思います。
多くの演奏家が録音していますが、その中で比較的最近のユリア・フィッシャーの演奏が高度なテクニックはもちろんエレガントかつ歌心に溢れていてとても素敵です。この曲は汗水垂らして技巧を見せつけて弾くのではなく、イタリア的なエレガントでなければならないと改めて思わされました。
音大受験やコンクールで課題曲になる理由もあり多くの教室で取り上げられるかと思います。難易度は高いのですが取り組んでみる価値のある曲と私は思います。1番から進めるといきなり挫折しますので、13番から進めてみてはと思います。わたし自身は弾きこなせないのですが、弾く毎にヴァイオリンというのはこう弾くものなのか、音楽とはこういうものなのかと発見があります。やはりパガニーニは「ヴァイオリンの神様」なのだと思います。
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現在在庫が無く高額になっていますがそのうち再発売もあると思います。
一般的な知名度は低いと思いますし、現代的な響きに抵抗を感じる方も少なく無いとも思います。ですが、最近ではコンサートで取り上げられる事もとても多く、ヴァイオリンの世界では特に3番と4番は有名な曲です。
この曲を世界的に有名にしたクレーメルの演奏が元祖とも言えます(全曲初録音は日本人ですが)。今聴いても輝きを失っていない名演奏と思います。またフランク・ペーター・ツィンマーマンの演奏も素敵です。ですがここではローラン・コルシアの演奏を挙げたいと思います。DVDの「アートオブヴァイオリン」でもイザイを弾いていましたが、独特の解釈で私には面白く聴けます。
最近はレッスンで取り上げられる事も多くなっているのではないでしょうか?大変難易度は高いのですが、4番はまずは比較的取り組みやすい曲ではないかと思います。
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入手困難な盤ですが、中古などで見かけましたらぜひ
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